2009年03月13日
心理学辞典より重要用語
スキナーの用語。反応と反応との時間間隔、厳密には反応の初めと次の反応の初めまでの時間をいう。反応時間間隔は単位時間当たりに分けて、その回数が指標になる。
ISI inter-stimulus interval
刺激呈示時間間隔と訳される。
2008年09月26日
家族療法 Famiry therapy
家族療法は、家族を1つのまとまりをもったシステムと見なして、その家族システム全体を治療しようとする技法の総称である。個人の問題行動や症状は、過去の生育歴に由来するのではなく、現在の家族システムの歪みに由来すると考えられる。家族メンバー間のコミュニケーション様式(家族ルール)に着目し、歪んだ家族システムを、健全に機能するシステムへ変容させることを目指す。これは、治療対象として個人を単位と捉え家族は背景としてきた、従来の伝統的な個人精神療法とは対照的な考え方である。
歴史
1950年代に開始された当初は、主に精神分析的な家族力動理論を根拠にしていたが、後に一般システム理論(から、家族を「システム」として理解する家族システム論が発展)、対人関係論、学習理論、行動理論などさまざまな理論を取り込みながら発展してきたものである。特に、統合失調症などの精神病の原因として展開された、G.ベイトソンのダブルバインド理論は、コミュニケーション論的立場から、家族療法に大きな影響を与えている。
学派
家族療法にま多くの学派があり、現在では多種多様な理論的枠組みをもとに治療が行われている。その代表的なものは以下の通りである。
- 拡大家族システム論…M.ボーエンによって提唱された。個別化が不十分で、家族集団に融合してしまっている個人は不安を抱えるという前提に立ち、親世代の夫婦間の不安が次の世代に伝達されると考える。
- 精神力動的家族療法…個人の精神内界の葛藤や防衛が、家族のバランスを乱すと捉える。
- 行動論的家族療法…行動療法を基礎としたもの。
- 構造派…人自身を変えるというより構造を変えるという視点が強く、家族境界の明確さを求める。
- コミュニケーション論派…相互作用の仕方を変えることを目指す。
- 戦略派…家族が現在悩んでいる問題をすみやかに、かつ効果的に解決することを目的とする。
- ミラノ学派(システミック派)…心理的な問題を抱えた家族システムは、症状を要として家族関係の平衡を維持していると考える。
実際にはこれらのさまざまなアプローチは相互排他的なものではなく、共通する部分も大きいため、時に統合された形で用いられることも多い。
家族理論にほぼ共通にみられる特徴
- 個人療法は病理を個人に求めるが、家族療法はそれを家族システムに求めることが特徴である。
- 個人の症状もしくは問題行動は、その個人を含む家族システムの問題が顕在化したものとして捉えられる。したがって家族療法においては、症状や問題行動を示す人物は、患者でなくIP(Identified Parent)と表現されることが多い。
- 円環的因果律の観点…病理の解明に関して、原因→結果という直線的な思考法ではなく、原因と結果との因果関係が円環上に連鎖、循環しているとみなす。
このように家族に見方を変えることで、治療の中で、問題の焦点を個人から家族全体の問題へと転換していく。そして家族の円環的パターンや相互作用といった「関係性」そのものととりあげて、家族システム変化を起こすように積極的・能動的に介入していくのである。
適用と今後の展望
家族療法は、統合失調症、摂食障害、登校拒否などに特に有効とされるが、小児・思春期などのように、家族からの影響が大きい世代の心身症、神経症、うつ病、問題行動などにも効果的である。近年、核家族化、少子化が急速に進み、その一方で家族が地域社会の中で孤立しやすくなっていると言われる。それに伴い、虐待や夫婦間暴力といった家族に関わるさまざまな問題が表面化してきており、こうした問題に対処するためにも、家族療法には今後ますますの発展が望まれる。
催眠療法 hypno therapy
催眠療法とは、催眠現象を利用した心の治療法のことである。現代の心理療法は18世紀後半のF.A.メスメルの動物磁気療法によって始まった。そして催眠療法から、フロイトの精神分析をはじめ自律訓練法・家族療法・ブリーフセラピー・イメージ療法や動作療法などさまざまな理論や技法が生み出されている。
催眠の心理療法への利用には大まかに2つに分けることができる。第1に、催眠を直接治療のために使用する独自の技法としての狭義の催眠療法である。M.H.エリクソンの催眠療法およびその発展としてのストラテジー催眠療法と、課題努力法を基盤とする成瀬の催眠療法などが、狭義の催眠療法に位置づけられる。第2に、補助的にあるいは触媒的に使用する広義の催眠療法である。催眠には、すべての心理療法の基礎となる治療要因が内包されていると考えられるため、精神分析・行動療法・イメージ療法など、多くの心理療法に併用されている。
催眠に特有な現象は催眠性トランスと呼ばれている。このような催眠状態では、通常とは違った特異な意識性(変性意識の状態)がみられ、被暗示性(暗示にかかりやすさ)が強まっていて、その結果、覚醒時に比べて、運動や知覚、感覚、記憶、思考などの異常性ないし非現実性が容易に引き起こされるようになる。したがって、催眠状態では、通常は難しいとされる心理的な操作や体験を行うことによって、心理治療も進めやすくなると考えられるのである。また、催眠を誘発するにはセラピストとクライエントとの間に催眠性ラポールと呼ばれる、独特の強い結びつきが必要であるとされる。これをもとにして心身のリラクゼーションと暗示による症状除去を行い、不安などの情動カタルシスや自然治癒力を促すのである。
催眠療法は心理臨床領域以外でも用いられており、内科や外科、麻酔科、産科などの医療分野、さらに最近ではPTSD、癌、AIDSなどにも適用されている。また、リハビリテーション、スポーツ、芸術の分野や、教育、美容、健康に関する領域でも広く用いられている。
動作療法,動作訓練 motor action therapy, motor action training
動作療法は動作訓練、臨床動作法とも呼ばれ、脳性麻痺の児童の肢体不自由を改善するために開発された訓練方法である。
一般に動作は、実際の発現に先立って、ある部位を意図した形で動かそうとするイメージが形成される。そしてそれに近い動きがとれるように筋肉を動かし、身体の感じをフィードバックとして受けながら調整していく。しかし、実際にはイメージどおりに動かない場合も多い。そこで動作訓練では、意図した通りの身体運動ができるようになることを目的として、動かしている過程の感じ、力の入れ方などに訓練の焦点をあてていく。実際には、仰臥位でゆっくりと肩をまわし腕と肩の周辺の力を緩めるなどを行い、不適切な緊張を取り除く。あくまで自らが主体的に力を緩める方法を身につけるのが目的である。
この方法は現在では、自閉症児、多動児、精神遅滞児、精神分裂病、神経症、チック、不登校などに効果があるとされている。さらに、高齢者の健康法への利用や、スポーツ分野におけるあがり症対策などにも使用されることがある。
ゲシュタルト療法 Gestalt therapy
ゲシュタルト療法は、F.パールズによって創始された心理療法である。ゲシュタルトとは、もともとドイツ語の「形」、「全体」、「統合」などを意味することばであるが、その心理療法も、統合を志向する人格への変容を目指している。この心理療法は、過去の体験や生育暦の探索ではなく、患者の「今、ここで」の体験と関係の全体性に重点をおく。個人でも集団でも適用されており、自己の責任をもつことを重視して、自発的な感情や自己への気づきを喚起しながら、自己実現を促進することをめざしている。
基本的概念は、@気づき、A「図と地」とその反転、B「今、ここ」という現象学的場、の3点である。@の気づきとは、精神分析での意識化、洞察などに近い概念であり、「アッハ体験」とも言うべき納得の体験を指す。Aの「図と地」の反転とは、今意識の上らないものが上ってくる時、地であったものが図となることを指す。不適応状態の時には、失敗の経験が図として固着している場合があるとする。これに対し別の見方を持つべく、図と地の反転を促すこともこの療法の重要な点である。Bの「今、ここ」という現在性を重視するのもこの療法の特徴である。
代表的な技法には、ロール・プレイングや、座席を移りながら自己のさまざまな側面を演じて互いに対話を行うホット・シート、怒りや恐怖の行動化、外傷的な出来事の追体験といったものがある。そこで治療者は、患者の表に現れた行為のほか、非言語的コミュニケーションや呼吸の仕方、緊張の表れなどにも注意を向けて、患者にそれらを指摘し、その意味を尋ねる。
ゲシュタルト療法は、クライエント自身に自己、外界への気づきを促す手法であるため、クライエントに治療自体への欲求が乏しい場合には、適用が難しい。そのため、境界例以上の重篤な症例には適応が困難である。この療法は1960年代のアメリカにおいて脚光を浴びた療法であるが、同時に家族療法の基盤であるシステムズアプローチ、エンカウンター・グループ、心療内科などにも影響を与えている。